昨年、地域を代表する大規模農家の魚沼関農場・関隆さんは、テレビ取材で「稲作農家になって今年ほど興奮した年はない、皆さんが米を待っているんだからこれほど嬉しいことはない。」(意訳)と話していたのが印象的でした。
さて、その米価、供給不足、天候はどうなるか、今年は農業が注目される年になります。なので、今回は少々難しいテーマとなりますが、農業初心者の僕からみた感想をお伝えします。
主食用米増産と概算金提示、米作り「地区別説明会」に行ってきました。
昨年夏からの米不足騒動で「主食用米作付目安数値」が面積、数量とも増加で通知されました。米不足の原因については毎日、メデイアで報道されていますが落ち着くまではよく分かりません。減反政策から一転増産、米不足は困ったもんです。僕のような小規模農家にも小さい増産目安が落とされてきました。
話題の米の価格ですが、全農にいがたは昨年の激しい集荷競争を念頭に、とても早い時期の3月(例年は8月)に価格提示しました。全農が提示した魚沼コシヒカリ1等米の最低保証額の買取価格(概算金)は25千円/60キロです。随分、上がってますね。これは概算金ですから集荷状況によっては追加払いもありえます。「値段を上げますから全量をJAへ出荷して下さい」ということです。全農新潟はプライスリーダーなので全国の全農が追随すると言われてますから、このまま米価の高止まりは続きそうです。


日本全体の米不足、地方の現実は農家数、農地面積の減少が続く。
毎日、メディアに米値上がり、米不足、消費者悲鳴、外食産業悲鳴、輸入米安いなど・・と報道されてます。大きく分けると「流通の問題」、「米の生産不足」、それに加えて「インバウンドを含む需要の高まり」という分け方のようです。流通と需要の高まりには対応が考えられますが、生産不足は簡単ではありません。この記事のとおり僕の周辺でも兼業農家の離農は多く、ここ10年で高齢化と担い手がいない農家の離農が目立ちます。その結果、農地を大規模農家に委託に出すことになります。
一方、これまで離農農地の引き受け手であった大規模農家も、これ以上は耕作面積を増やせない事情があるようです。この記事のとおり「結構、もう、限界かなと思いまして … 」「全部の田んぼを見れない。1日70kmは走らないといけないですね。」農地から農地への移動時間が効率的な作業を妨げるし、田んぼが多すぎてこれまでどおりの水田管理はできないという事情があります。昨年、長雨の影響で刈取りのできなかった田圃がこれ迄になくでました。大規模農家は早生(こしいぶき)、中手(コシヒカリ)、晩生(新之助)と刈取時期をずらして調整しますが、一番量の多いコシヒカリは、今回のような長雨に作業が追い付かず刈取時期を逃してしまう稲がでます。こういう状況はこれまではあまり目にしませんでした。これを見ると管理できない限界にきていることは十分理解できます。
離農する人の農地をさらに引き受けるには機械投資も機械を動かす人も採用ということになると「もう、限界かな」ということになります。規模が大きくなるとカメムシ対策の草刈り、水管理、暑さや長雨などへの天候対応などなど細かく見れなくなり品質への心配もでてきます。
零細な兼業農家の離農への流れを穏やかにすることは出来ても、その流れを大きく変えることは出来ないでしょう。大規模農家による生産増加も難しそうです。今の稲作農業は大規模農家が主役で兼業農家はすでに舞台から降りています。兼業農家の農地は耕地整理が済んでいない小さい田圃や山間地にあったりで大型機械中心の大規模農家が引き受けづらい農地が多いのです。
大規模農家もいろいろあって、100ha以上やっている法人化した若手の農家や50ha以下で高齢な農家もあります。その高齢で後継者のいない大規模農家が農地の受託を止めているという話も聞きます。引き受け手のいない農地はやがて耕作放棄地になっていきます。このような風景はここ魚沼でもそうですし、去年旅した京都でも見た風景です。これからも全国的に生産面積の減少化傾向は続くと思います。

生産農家や生産面積の減少にどう対応するのだろう。
生産現場における離農と農地の引受け手の現状を見ると、主役の大規模農家のほかに1ha〜3ha規模の兼業農家も必要です。米価がもう少し早く上がっていたら離農を思いとどまった人もいただろうにとも思います。引受け手のいない小規模農地は大型農機でなくても、これまでの使っていた農機で大丈夫ですし、大雑把に言えば農繁期は春と秋ですから、稲刈り後の乾燥・籾摺りはJAのカントリーに任せれば、土日ファーマーでもなんとかやれます。米価がこの水準まで上がり、さらに戦争と円安が解消して肥料等のコスト低下で収支が改善すれば、農業の担い手も農業を継続する動機づけになったでしょう。
例えば、持ち家があり夫婦共働き子供ありの家庭で、農地1ha、反収8俵、米価25千円、肥料、農薬、カントリー使用量など稲作経費が40%だとすると。➡️ 収入が8俵×10a×25000円=2,000千円 稲作経費が2,000×40%=800千円 手取所得1,200千円となります。給与所得のほかに1,200千円の所得が確保できれば、あえて離農しない選択をする人も多いと思います。農地の減少になんとか歯止めをかける方策が求められるます。
田圃があっても既に農機を処分している農家は農業をすることは出来ませんが、生産を行っている現役兼業農家数がこれ以上、減らないことが必要です。その点、今回の米価の上昇は一定の歯止め効果があると思いますが、抜本的な解決策ではありません。
米不足か米価か
米価が高止まりして一般消費者が悲鳴、外食産業が悲鳴、なにからなにまで値上がりの中でエネルギーと米価の値上がりは象徴的です。なにしろコメは2倍になった銘柄もあるのですから。しかしながら農家数、農地の減少で将来にわたって供給不足ということになれば話は別物だと思えます。供給不足は米価の上昇を招き、安いコメの輸入やコメを食べない食生活へ変化を起こします。
米価はほかの消費品目と同じように輸入コストの値上がりに影響を受けています。とくに肥料の値上がりは凄い、昨年は15キロ袋で6300円、今年の分は値上予定で価格未定のままですが、使わないわけにはいかないから注文しました。以前の1.7~2倍位しますから、正直、高いですね。1反あたり2袋ほど消費しますので16aで20万円~25万円ほどを予定しなければなりません。
肥料や農薬の原材料は、ほぼ、輸入ですから円安、戦争、ロシア産肥料の輸入禁止、戦争よる輸送コスト増などから全てが値上がりしています。ヨーロッパでは農家がトラクターで道路を封鎖するストライキも起きています。全ての品目が値上がりしていますから、米価だけが据え置きというわけにいきません。
TSUTAYAでいい本を見つけました。
農文協がだしている「農家の機械整備便利帳」です。これはいい、僕みたいな機械オンチに役立つような気がします。早速、メルカリに1300円で出品があり注文しました。この本は長らく店頭には並んでいなかったようで、Amazonでは5890円、2090円と定価より高額で出品されてました。
機械は使っていると必ず調子の悪い、下手すると故障原因になる兆候があるようです。そのへんが機械オンチだと気づかずにいて最悪、高い修理代を払って直すということになりますから、この暇な時期に関係するところを読んでおこうと思います。

この1枚 「Live at the Troubadour」
Carole Kingと言えば1971年にとても売れたアルバム「Tapestry」で有名になりました。James Taylorには楽曲「You’ve got a freind」を提供しています。James Taylorも1970年代のシンガーソングライターで「Mud Slide Slim」などのアルバムがあります。
このアルバムは50年来の親交の深い2人がTroubadourで行ったライブ盤です。人の優しさや内面についてメロディーの美しい有名な曲が多いので是非聴いてみてください。アコースティック好きな人は気に入ってもらえる1枚だと思います。Carole Kingの時代を超えたスタンダードの楽曲が詰まったアルバムです。

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