2025年のお米の「通知表」 この1枚はブログ投稿50本記念に『The Köln Concert』ver2

ブログ投稿が50本になりました。これを記念して、今回の「この1枚」は Keith Jarrett の名盤The Köln Concert(1975年)にしました。透明感のあるピアノを聴きながら、2025年の米づくりを振り返ってみたいと思います。

2025年産米の通知表|食味格付「SS」評価

 2025年産米の「通知表」が届きました。結果は食味格付(食味成分・特性)が前年の「S」から最上級の「SS」になりました。美味しいお米ができたと評価されることは素直にうれしいです。

 一方で、夏の猛暑の影響により未熟粒(くず米)が多く、外観格付は前年同様の「A」でした。総合評価は食味格付と外観格付の低い方で判定されるため、今年の通知表は「A」という結果になります。味は良かったけど、見た目の品質に課題が残った一年でした。

通知表とは何か

 JAのカントリーに生籾を持ち込む際、伝票の「食味分析を希望」欄に◯を付けたサンプルについて分析評価が実施されます。僕が利用するJAでは12月に送られてくる「食味品質評価票(玄米)」をお米の通信簿「通知表」と呼んでいます。数値としてタンパク質、アミロース、水分、脂肪酸度などを分析し品質を評価します。農家にとっては、いわば、一年の成績表のようなものです。

 また、2月27日には日本穀物検定協会の「食味ランキング」が発表されました。このランキングは日本穀物検定協会が味や香りを実際に食べて5段階評価で発表しています。新潟県では魚沼産コシヒカリが8年連続で最高評価「特A」を獲得しました。魚沼の農家としては、やはり嬉しいニュースですね。

通知表から見る2025年のコメづくり

 左が2025年、右が2024年の通知表です。米づくりは自然や天候に左右されるのは仕方ないとして、通知表の数値データを参考に改善できる点は改善することが大切だと思います。

 ただし、最終的な美味しさは生産者である自分の五感、特に味覚と視覚で判断します。つまり、自分で食べて「美味しい」と思えるかどうかです。昔から「反収(収量)が多いと味が大味になる」と言われています。そのため、数値だけにこだわらずバランスを見ながらこの通知表を読み解いていきます。

食味格付が最上位「SS」になった理由

今回、食味格付が最上位の「SS」となった理由は主に次の2つです。

アミロースが目標値18%以下に対して17.8%でした。アミロースは少ないほどご飯に粘りが出て美味しいと言われています。タンパク質含有量が目標値6%以下に対して5.6%でした。タンパク質が多いとご飯が硬くなるため、一般的には低い方が食味は良いとされています。この2つの数値が良かったことで食味格付がSSに上がりました。

各項目の変化は次のとおりです。 
・水分:「普通」→「良い」※15%以下の過乾燥は食味低下の原因になります。
・タンパク質:「普通」→「良い」※高いと硬いご飯になりやすいといわれます。
・アミロース:「良い」(変わらず)※少ないほど粘りが増す傾向があります。
・脂肪酸度:「やや良い」→「普通」※玄米の酸化が進むと数値が上がります。
・スコア:「やや劣る」→「やや良い」
食味格付:「S」→「SS」

外観格付:前年同様の「A」 ※猛暑による未熟粒増加が影響しました。

葉色を測るSPADという計測器です。複数サンプルで葉色が薄い数値がでたら、肥料を追加する目安とするために計測します。

雨が降らず水不足で僕の圃場まで水が届かない日が続いた水路の様子

食味向上の要因は、初めて実施した穂肥かもしれません。

今回「SS」評価となった食味向上の要因は穂肥の効果かもしれません。これまで倒伏を心配して穂肥を施していませんでしたが、幼馴染の助言もあり初めて実施しました。

とはいえ、穂肥は初めてなので施肥量は1反あたり0.5袋と標準の半分に抑えました。2025年は春の寒さ、夏の猛暑、水不足と厳しい年でしたので適正な栄養補給が必要だったと思います。そのため、出穂期に栄養となる穂肥を与えたことが良い結果につながったのかもしれません。

僕が使う元肥は「一発型肥料」という「効果が早くでる遅くでる」をミックスした仕様で設計したものです。価格は高目ですが穂肥を撒かなくてもよろしいタイプで作業の軽減につながりますから、使用する農家が多くなっています。

しかし、近時の高温化で春先の気温上昇から肥料の効き目が早くでて、出穂時の栄養補給に合わなくなっているとの指摘もあります。JAの研修会でも近年の猛暑で「一発型でも肥料不足による栄養失調にならないように穂肥を施肥してくださいね。」と再三注意を促されています。

美味しいお米のタンパク質はどれくらい、収量は多過ぎずに?

 美味しい米はタンパク質5〜6%が理想とされてます。しかし、昔から肥料を多く与えると収量は増えるが味は落ちるとも言われています。逆に、5.5~6%以下では評価が下がる傾向もあるなど意見はさまざまです。そのため、穂肥を含めどれくらい施肥するかバランスが難しいところです。

 タンパク質含有量を「高からず低からず6.0%の前後」を目標に穂肥を与えたいと思います。穂肥を多くやれればモミは太りますが、玄米タンパク質含有率も高くなるので肥料(窒素分)はやりすぎないようにしなければなりません。

穂肥は「やり過ぎず適度に」が難しいところです。通知表の数値も見て「食べてみて」判断するしかありません。結局のところ、1年に一回しかトライできないところがコメ作りの難しいところです。

稲の花は午前中の2〜3時間程度しか開花しないそうです。

初めての穂肥、肥料(窒素分)の施肥量はどれくらい?

穂肥に使用した肥料は「越後の輝き有機30」成分はN12-P4-K10です。この肥料の基準施肥量は10aあたり窒素2kg(製品重量16.6kg)ですが、実使用量は10aあたり窒素0.9kg(製品重量7.2kg)と半分以下でした。原因は、動噴が初めてで使い勝手も分からず、暑さもあってかなり疲労困憊しました。結局、思うように散布できなかったのです。来年は無理せずドローン散布も検討します。 

ドローンを使ったカメムシ防除です。来年は穂肥施肥もドローンでしようと思います。

外観格付「A」の課題は未熟粒30%

格付外観は今年も A でした。原因は未熟粒の多さで目標10%に対して 30% もありました。未熟米は出荷できないくず米です。それが30%もでるということは出荷数量が大きく減るということです。今年は天候がかなり厳しい年で春の寒さ、猛暑、水不足、お盆以降の長雨の影響が大きく、その影響で未熟米が多くでた農家が多かったようです。

打ち上げを待つ長岡大花火大会

来年は「外観格付」が良くなるように考えてみました。

 通知表では未熟粒が目標とする10%に対して30%もあります。改善すべきは未熟粒の多さです。今年は天候不順の年でしたが、天候のせいだけにせず出来ることがないのか、来年どのような対策を施したらいいのでしょうか。

 その前の年も猛暑でくず米が多くでました。多分、登熟期に早く水を落としたのと元肥をメーカー基準の90%にした栄養不足が原因と思われます。

 肥料は今年も倒伏防止剤の入った一発型の「楽市20W」を使い、この肥料を使用した2年間は倒伏がありませんでしたので、基準通り100%の施肥量にするため田植機を調整したのですが、残念ながら失敗し100%までは落ちませんでした。

 来年は改めて元肥を基準どおり100%与え、穂肥はドローンを使い半分でなく、ほぼ基準通り施肥し、登熟期間中は水を落とさず太りを目指しくず米比率を10%を目指します。

 

この1枚  Keith Jarrett - The Köln Concert (1975)

 久しぶりにKeith Jarrett - The Köln Concert (1975)を聴きながらこの記事を書いてます。いろいろな方が透明感のあるピアノの音色、即興演奏のすばらしさ、ジャズピアノの歴史を変えたマイルスストーンとか色々な表現でこのアルバムの価値を伝えています。

1975年ドイツ、ケルンのオペラハウスで行った全即興演奏の有名なアルバムです。50年前のリリースですが日本のテレビCMに採用されたりしていますので、この曲聴いたことあるという方もいらっしゃると思います。
 

昨年12月にアルバムのリリース50周年を記念したLPが発売されたり、26年4月からコンサートの舞台裏を映画化した「1975年のケルン・コンサート」が公開されるとか凄いことになってきました。ジャズの範疇を超えた美しくきれいな音が流れ出る1枚です。

t.yakubo

地方銀行、リース会社、酒造メーカー勤務後67才で160アールの稲作農家を始める。

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定年退職者の稲作の記録
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