田植機はコンバインに比べ小型だけど、やたら調整する箇所が多く難しい機械です。
2025年の使用実績を踏まえて書き直しました。
まず、取扱説明書を徹底的に読む
これまでは亡父のイセキSANAE43Yを使っていました。委託していた田圃を含め160アールを耕作するにつき、同じ4条植えのクボタPU430Pを叔父から譲り受けました。基本的な構造や操作方法は、ほぼ、同じようですが、型式が新しく機体が大きく機能が多いようです。今回、取扱説明書をろくに読まずに動かしていたこれまでの反省を踏まえ、取扱説明書をよく読むことにしました。

左が2024年に更新したクボタ、右がイセキ
どちらも4条植えだがクボタは型式が新しく大型で機能が追加されている。後輪がダブルタイヤで直進性と曲がりやすさに優れている。

農業機械は操作方法を思い出すまでが大変。
自動車は取扱説明書を丹念に読んで運転している人はほぼ皆無だと思われますが、毎日運転するから運転方法を忘れる人はいません。
農業機械はそのへんが大いに違います。なにしろ田植機を1年ぶりに動かすからです。1年に1回、1日か2日しか使わないから動かし方も装置の機能も忘れます。(2025年は雨が多く都合5日の稼働)ろくに取扱説明書を読まずに動かすから、田圃に入ってから肥料が落ちない、植付部がロックされて動かないなどいつもトラブル多発です。
これを整理すると課題が二つあります。一つは自分自身の操作方法の忘れ、一つは機械のメンテンナンス不足です。毎年、取扱説明書に基づいてメンテナンスをやればこのレバー、この装置はどういう機能がありどう動かすか復習します。そんな反省から田植機の操作方法とメンテナンスを記事にします。
クボタ田植機のディフォルトを確認する
イセキからクボタへの変更なので取扱説明書に基づき、実機で装置やレバー類の確認と出荷時ディフォルトを確認しておきます。個人的には稲作農業機械のうち田植機が一番複雑だと思います。コンバインは大型で大馬力ですが、田植機はそれに比べ小型だけどやたら操作、調整する箇所が多いのです、まず、メーカーのディフォルト値を確認、頑張って勉強しましょう。

「マスコットランプ」は肥料切れほか警報を発してくれます。ランプが点滅したら田植機を止めます。どこか異常が発生しているはずです。実際作業でも肥料切れと苗詰まりを感度良く教えてくれました。
「畔超えレバー」は機体から降りて動かす際に使います。バックで田圃から出る方法もありますが、田植機は思ったより背丈が高く植付部が重いので、傾斜のある出入り口で転倒の危険ありと思う場合は、安全を確保するためにも機体から降りてこの機能を使うが一番いいように思います。


・「バックアップレバー」は「入」➡バック時に自動で植付部が上がりますからここは確認が必要です。ちょっとした出っぱりのレバーで乗降のとき足で引っ掛けて切ることが多々ありますから。
・「油圧ロックレバー」は➡植付部を上部で固定します。
・「副変速レバー」は➡圃場作業と路上走行、ニュートラルの切換をします。
忘れないようにマジックで備忘メモを記しておきました。が、先日、今年の作業のために1年振りに動かしてみたら、植付け部を上に上げられませんでした。このメモの意味もすっかり忘れていました。(寂しい)
黒いペダルの「前輪ペダル」は粘度の高い田圃での転回に効果バツグンでした。
左側の「主変速レバー」は前進と後進で遅くから早くへと無段階で動きます。
右は植付け部を上げたり下げたりの「植付レバー」とアクセルです。アクセルは全開状態で動かしました。


「株間調節レバー」足元のブレーキの下ゴムめくるとあります。28センチ40株に設定してあるようです。
これは植える苗数に影響しますが、刈取りのコンバインにも影響するのか、この調整がイマイチ分からないのですが、ここは叔父さんの設定どおりに使うことにします。
植付部のディフォルトを確認する。

「フィットセンサーレバー」は4位置(椅子の下にあるります。圃の硬い柔らかいで調整します)
「あぜぎわクラッチレバー 植付けを2条にするレバーで左右にある。ちょっと使いかたが分かりません。

苗取り量調整レバーのディフォルトは6段目ですが一番少ないにしてます ➡ 試し植えで苗が4〜5本になるように調整、「植えてみたら1本苗が多少でたから、来年は目盛を一つ上げて試してみよう」で今年、目盛りを1つ上げたら苗量が大幅に増えたので元の一番少ないに戻しました。
植付深さ調節レバー ➡ ちょうど真ん中のディフォルトの3位置、実作業ではこの深さのほうが浮き苗が出ないので良いみたいです。
「ロータ自動スイッチ」は「入」このロータは実に良い。轍の跡をよく整地してくれます。
「ロータ深さ微調整ダイアル」はディフォルトの「標準」にしておきます。浅い深いを試さなかったのは残念でした。今年の失敗事例ですが、圃場を1枚にした田んぼが工事でトロトロにもかかわらず標準のまま使用し苗が埋没しました。(工事業者にも早く水を切り固くと注意されていた)


横送り切換レバー20か26(20になっていた)

苗ステー・苗押さえ棒が甘い、外れていると苗が田んぼに落ちたりとトラブル多発です。
今年の失敗事例は苗を積んだまま植付部を上げ移動した結果として、揺れが大きくなって苗押さえ棒が外れ、次の圃場で苗が田んぼに落ちて大変でした。苗を積んだまま移動する場合は植付部を下げ超スローで移動しましょう。

施肥機のホッパ(肥料ケース)とロールケース(繰り出し部)、ブロワは肥料を空気をでる装置 このあたりの調整はどうすんだろうか?
今年のトラブル例は、写真にある肥料を送るホースに肥料が詰まり肥料が落ちなくなりました。結果論ですがホースを見れば一目瞭然なのを発見まで2時間かかりその日の作業は日没ゲームセットでした。

ここまでのまとめ、運転開始時のチェック項目とディフォルト値の変更
①苗取り量調整レバーはディフォルトが6段目、これだと苗取量が多いらしいので最下限にしました。
試し植えでは4〜5株だったので「いいな」と思ったが、1本苗が出ていたので来年は目盛り1つ上げて調整してみよう。(今年1目盛り上げたら苗の消費が多くなり元の一番少ないに戻しました)叔父も一番下限で少なくという話でした。JAから苗を1045円/枚で買うのでできるだけ節約したいこともあります。
②植付深さ調整レバーはディフォルトの3段目 これでいいみたいでした。
③横送り切換レバーを20回か26回で今は20にしておく。
④フィットセンサレバーは4位置にして柔らかい田圃になったら1位置にしよう。
⑤株間調節レバーを設定する➡ 45株に調整してある。
⑥ロータ深さ微調整ダイアルは標準にする。トロトロの圃場は浅くでしましょう。
植付部のテスト
植付クラッチレバーで植付部を下し、油圧ロックレバーを閉め位置にしてロックします。
植付の爪を壊すといけないので副変速レバーも中立位置にして、油圧ロックレバーを開にして植付クラッチレバーを植付にして苗乗台を動かしてみました。爪が正常に動きブロワから風が出ていることを確認する。風が出ていれば肥料は正常に落ちます。クボタのこの機種の場合、田植機を作業状態にして動かさないと肥料は落ちてこないことが分からず電話でクボタさんに教えてもらいました。

苗の補給はよく確認します。
低速の試し植えで本数を確認します。
植付株数の確認は重要です。機械条間は30センチ、株間は調整できるので株間調節レバーで24センチ45株にする。苗取り量は4〜5本が標準なので試し植えで数えて、苗取り量調節レバーを調整してみます。株間調整レバーは50株か45株かのいずれかだろう。
苗取り量の調整
「横送り切換レバー(20回)」と「苗取り量調節レバー(一番少ないで標準の上から6段目より少なくしている)」で調整します。標準の本数は3〜5本だから試し植えで本数を確認します。 フィットセンサレバーは標準の4、植付深さの調整レバー ➡ 2〜3センチ 標準は上から2番目、苗ステー調節部 1〜1.5センチ
整地ロータ位置は浅い(上がる}と深い(下がる)がありますが、標準位置よりやや深いに設定してありました。このまま使いロータが泥押しする場合は浅い方向にすることにします。(今年、3枚の田んぼを1枚に整地してもらった田はブルで代かきしてトロトロになった圃場で、設定を変えずに植えたら苗が泥に埋まり大失敗、このような柔らかい圃場では浅いに設定しましょう)

・残肥排出レバーが施肥位置、キャップされていること。
・左右のロックレバーがロック位置にあること。
・エアのエア漏れがないこと。
・調量ツマミの位置が25/10aを確認すること。

施肥量の調整は大事、いっぱいでると稲が転び悲劇になる。
以前、肥料の出口にはめるプラスチック部品を違う位置にはめたことが原因で、田植機から肥料が倍もでたことがありました。そして、肥料が足りなければ農協に買い足しに行けばいいくらいに思っていたら、その年は窒素分過剰で稲がバタバタと倒れ、稲は腐り、手刈りする悲劇となったんです。機械オンチと肥料が出すぎるとどうなるかを知らない無知の自分、そこに悲劇の恐ろしさがありました(大反省)。
使う肥料がどれだけ出るか、施肥量の繰出テストはこんな感じです。
色々な肥料がありますから、使う肥料が実際どれだけ出るかを確認するのが「繰出しテスト」です。油圧ロックレバーを開にして植付クラッチレバーで植付部を地面30センチ位に降ろして、安全のため再び閉にしてロックします。作溝器の下に容器(洗面器)を置き、ブロワを回転しながら手動ハンドルを10回転/10秒させ、排出した肥料の重量を実測、ハンドルで左回転(反時計回り)に10秒間で10回まわして容器に肥料を落とします。
説明書では重量を測定してみて、20〜50キロ/10aの場合は100グラムが標準で、実測値が90グラムだと施肥量調量金具(出荷時は20位置)を1目盛り分多くすると記載されてます。
1反にどれくらい窒素を入れたらいいんだろうか。肥料排出量を調整する機能があります。
今回、初めて使う肥料の楽一は15kg袋、窒素割合が20%です。施肥量調量金具(写真)の25位置は10a当たり肥料を25kg撒くメドということです。
メーカー推奨窒素量は当たり2袋30kgで窒素分6kgですから、施肥量調量金具(写真)は30位置ということです。僕が考えている窒素量少なめ5kgはメーカー推奨値より1kg少ない83%の割合になります。若干少なめの90%より更に少なくなります。どうしょうか悩みます。5kgの窒素分の肥料重量は(窒素量5kg÷窒素割合20%=肥料重量)25kgになります。楽一は15kg袋ですから10aあたり1.7袋を使う計算になります。
肥料排出量を25位置でテストすると標準の100gに対して概ね90gの排出でした。その場合、1目盛り上げて実測してみるとの記載があり、1目盛り上げると約100g出てきて標準の約100gになりますが、窒素分を押さえ気味にしたい気持ちがあるのでどうしようか悩みます。
でも、この位置にしておくことにしました。以前の経験から肥料が出すぎると稲が倒れることが心配です。この楽一という肥料は稲丈を抑制して転びにくくしているということですが、初めて使う肥料ということもあり、結局、目盛りは25のままで約10%少ない施肥量で田植えをすることにしました。
2024年実績は肥料「楽一」を1.9袋/10アール使ったので、肥料は約28.5kg 窒素分は20%だから10㌃で5.6kgと標準の93%と若干少なめの使用です。販売店では少し多めに使った方が良いということですが、どうなるか秋までわかりません。
今年2025年は1目盛り上げて25と30の間、28位にしました。計算上は昨年の使用実績の28.5kg✕100/90=31.7kgで若干多く出すことになります。
今年使う楽一20Sのメーカーの仕様30〜40kg/10a当たりだから範囲内の施肥量です。倒伏軽減剤が入っているから倒伏リスクは抑えられると思います。3反田での実績は2袋/10aで若干、肥料は多めにでたと思います。なお、全体の使用量あぜ際を広く取ったのでその分少なくなり全使用量は昨年同様の1.9袋/10アールでした。

金具の位置を25から28位に変更しました。

田植機を格納する。
田植が無事終わり洗浄、油注入などなどメンテナンスしたら機械を格納します。田植機の前はコンバインの格納スペースです。車庫の奥行きが650センチ、田植機が255、コンバインが407センチなので、2台入れると662センチになり奥行きが若干不足します。それを田植機の前輪部分下にコンバイン刈取部を潜らせてなんとかギリギリ入れることが出来ました。なお、田植機は1年間お休みだからバッテリーは完全放電しないように外しておきます。

この1枚 Elton John 「Goodbye yellow brick road」
エルトン・ジョンの1973年リリースの7枚目のアルバム『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード』の40周年エディションを聴いてみました。
なんと52曲も入っているアルバムです。Elton Johnの最も売れたアルバムで後輩ミュージシャンのカバー曲や別バージョンの曲もあります。有名な曲のオンパレードといったところですから、曲の紹介は省きます。僕が高校生か大学入学位の発売だったと思います。当時から見た目はオジサン然といった感じで、とてもロックミュージシャンという感じではなかったですね。でも素晴らし曲を量産した方で英国からSirの称号を与えられたスーパースターです。この中でもともとはマリリン・モンローへの追悼曲として書かれた「Candle in the wind」はダイアナ妃の追悼歌として歌われているのでご存知の方も多いと思います。このアルバムは買うと高額なので買うには躊躇しますが、Amazonに加入の方は自由に聴けますから試聴されるときっと気に入っていただけると思います。

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